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全固体電池とは

全固体電池とは、既存のリチウムイオン電池(LIB)の正極、負極、電解質といった電池を構成するすべての材料に、固体を用いた蓄電池のことです。電解質を液体から固体に変えることで、バッテリーはさまざまな優れた特性を発揮します。電気自動車や再生可能エネルギーによる発電の蓄電用に、現行の液体電解質のリチウムイオン電池をしのぐ大容量かつ長寿命で安全性も高い、次世代蓄電池が全固体電池です。
・リチウムイオン電池についてはこちら→
全固体電池
電解質を液体から固体にすることで得られるメリット
既存の液体を電解質として用いたリチウムイオン電池は、電極などの材料が劣化しやすく、可燃性があり、正極と負極が接してショートしないよう、中央に絶縁させるためのセパレーターを置く必要があります。セパレーターは熱にも低温にも弱いため、バッテリー全体の動作温度が狭い範囲に限られます。
全固体電池も、電池から電気を取り出す仕組みについては、現行の液体電解質のリチウムイオン電池とほとんど同じです。電極の材料としては金属が使われ、イオンが電解質を通って正極と負極の間を移動することで電気の流れが生まれます。 ただ、固体電解質を用いた全固体電池は、化学的に安定しているため副反応が起こりにくく、材料が劣化しにくい特性があり、電解質が漏れ出す心配もありません。高い温度でも動作可能で、これまでのリチウムイオン電池で使えなかった材料も含め電極材料の選択自由度が広がり、小さいスペースでの高電圧・大容量バッテリーにすることが可能となります。
全固体電池には、以下のようなさまざまなメリットがあります。
(1)低温から高温まで耐えられる
可燃性の材料が電解質に使われていないため、より高い温度での使用も可能になります。さらに、電解質が固体なので、低温になっても液体のように凍ることがなく、内部抵抗もあまり上がらずに、電池の性能は液体電解質のバッテリーほど下がりません。
(2)急速充電が可能
電池は急速に充電するほど熱を持つので、高温に強い全固体電池は現在のリチウムイオン電池よりもさらに急速充電が可能になります。
(3)寿命が長い
全固体電池の電解質が固体なので、液体よりも劣化が少なく、長く使用していると電解質の劣化が見られる現行の液体電解質のリチウムイオン電池よりも寿命が長くなります。
(4)形状の自由度が高い
全固体電池の場合は、液体電解質のように液漏れを防ぐための構造上の制約がなく、小型・薄型化しやすいメリットがあり、重ね合わせたり折り曲げたりして、さまざまな形状で利用することが可能になります。
(5)大容量・ハイパワー
現行の液体電解質のリチウムイオン電池に比べ、少ないスペースで高電圧・高容量のバッテリーとすることが可能。
全固体電池開発のポイント
全固体電池の研究は、電解質として使用される固体材料の発見・開発が鍵となっていますが、電極に十分な電気を流せる固体材料が見出されたことで全固体電池の開発は活発化しています。また、製造工程の課題としては、固体である電解質内をイオンが移動しやすい状態になるように、固体電解質内を緻密化するプレス加工が重要になります。また、電極と固体電解質の界面の密着性を良好にする特有の加工や材料選定を行う必要もあります。電解質と電極界面の密着性を高めるにはプレスすることが必要ですが、あまり荷重をかけ過ぎると材料の組織構造が壊れて性能が落ちたり、他の部材が壊れる可能性があるなど、量産化に向けた課題は多くあります。それらの課題を解決するために、研究開発が進められています。
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