フローティングダイによる両軸成形で、上下密度の均等な粉末成形体を形成。
粉末成形で最も多く用いられる金型成形ですが、粉末を金型で成形する時に、ダイ壁面などとの摩擦の影響で粉体内の応力状態が不均一になり、成形体内に大きな密度差が生じることが、焼成後に起こる変形やクラックの発生などの問題の原因にもなります。
粉末を金型に充填し、単軸に沿った加圧力で成形する成形法の1つの「一軸成形」(片押し法)には、圧粉体の密度に、上下で大きな差が出てしまう問題があります(図2参照)。それに比べ、「両軸成形」(両押し法)は、上と下から均等に荷重がかかるため(図3参照)、上下の密度分布差が小さい成形体を形成することができます。
「NPaダイス」は、ダイをフローティング(浮いた状態)させることにより、成形中の粉体の動きに応じてダイが上下に動きます。下パンチを固定し上パンチで加圧すると、ダイ壁と粉末間の摩擦力が増大し、ダイの支え力より大きくなるとダイは下降。相対的に下パンチが上昇したことになり、両軸成形と同様になります。またダイがフローティングすると、顆粒から顆粒への力の伝わり方にロスがなくなり、密度の高い成形体となります(図1参照)。
密度分布比較
NPaダイスのダイがフローティングする原理
粉末成形で行われるフローティングダイ法には、ダイをバネや油圧などで支える方法がありますが、NPaダイスではダイの下に「スペーサー」をセットします。粉末を充填し、上パンチをセットして上部から荷重をかけると(仮成形)、粉体の内部圧力が増してダイ壁と粉体の摩擦力が大きくなり、スペーサーを外してもダイが浮いた状態(フローティング)になります。
NPaダイスの離型方法
成形が完了した粉体を手の力だけで型から取り出すのは困難です。両軸成形で成形が完了した後、ダイの上部に専用のムーバーをセットし、プレス機で上からムーバーをゆっくり加圧すると、きれいに離型することができます。
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